融雪が進み、春作業の準備を始める3月となってしまいました。近頃健康管理のために、寝る前に「鼻うがい」をするようになったAID研究センター所長です。
今回は、新たに登場したISOBUS規格「ISOBUS TIM」と、それに対応した農業機械についてご紹介したいと思います。
ISOBUS TIMとは
「ISOBUS TIM」は、2019年に新たに加わったISOBUSの規格です。
TIMは 「Tractor Implement Management 」を略した用語で、トラクタと作業機械が相互に作業条件を制御できることができます。具体例として、作業機側からトラクタの停止や油圧回路のON・OFFなどの制御が可能となります。
ISOBUS TIMに対応した農業機械
ISOBUSの認証機関AEF(Agricultural Industry Electronics Foundation)のデータベースによると、ISOBUS TIMに対応している農業機械はDEUTZ-FAHR社のトラクタと、Kuhn社のロールベーラ・ノンストップベーララッパとなっています。
1.トラクタ
AEFのデータベースに登録されている、ISOBUS TIMに対応したDEUTZ-FAHR社のトラクタは、
6155.4 TTV ・6165.4 TTV ・6175.4 TTV
6155 TTV ・6165 TTV・ 6175 TTV・ 6185 TTV ・6205 TTV・ 6215 TTV
の9機種となっています(2020年3月現在)。
DEUTZ-FAHR社では、ISOBUSへの対応状況に関する動画を公開しています。
この動画の最新版の中で、ISOBUS TIMのことが説明されています。
2.ロールベーラ・ノンストップベーララッパ
ロールベーラ(Roll Baler)は拾い集めた牧草を巻き取り、ロールベールと呼ばれる俵のような大型の牧草の束を作る作業機械です。
ノンストップベーララッパは、牧草を発酵させた「サイレージ」を作るためにロールベールをビニールで包み込むラッパ(wrapper)という作業機械をロールベーラに組み合わせた作業機械で、ノンストップで連続作業を行うことが可能です。
Krone社の製品で、ロールベーラではCF 155 XC 1.0・CV 150 XC 1.0の2機種、ノンストップベーララッパではCF 155 XC PLUS1.0・CV 150 XC PLUS1.0という2機種がISOBUS TIMに対応しています(2020年3月現在)。
Krone社では、ISOBUS TIMを搭載したロールベーラの作業の様子を紹介した動画を公開しています。
ISOBUS TIMを搭載したロールベーラでは、ロールベールの大きさを感知して設定値に達すると自動的にトラクタが停止し、後方の排出ゲートを開けてロールベールを排出してから、次のロールベールを作るために自動的にトラクタが走行を開始するようになっています。
このような作業の自動化がISOBUS TIMの最大のメリットであるといえます。
現段階でISOBUS TIMを利用する場合、DEUTZ-FAHR社のトラクタとKrone社のロールベーラ・ノンストップベーララッパの組み合わせしかありません。
今後、ISOBUS TIMを搭載したトラクタや作業機械が増えていくことを期待したいと思います。