10月に入り、農作業も終盤戦となってきました。事務所移転により、通勤時間が少し長くなったAID研究センター長です。
現在、世界中でロボット除草機が開発され、製品化がすすめられています。
これらの除草機は、雑草を削り取る「物理的除草(機械除草)」タイプと、雑草に除草剤を吹き付ける「化学的除草」タイプに分けることができます。
そこで、今回は個性豊かな「物理的除草」タイプのロボット除草機を取り上げてみたいと思います。
自律走行タイプ
ロボット除草機と言って、まず思い浮かぶのが自律走行しながら部屋の掃除を行う「お掃除ロボット」のような機械ではないかと思います。
しかし畑で使うロボット除草機の自律走行は、部屋の壁などがないため、広い畑の中をGPSの位置情報やカメラからの画像情報を利用するタイプが主流です。
こちらはNaïo Technologies社のDinoというロボット除草機です。
畑の中をRTK-GPSの位置情報やカメラからの画像情報を利用して走行するタイプで畑の端に着いた時には、それぞれ独立した4輪をコントロールして独特の動きによって旋回するようになっています。
除草は除草刃(ホー)で雑草を削り取る方式を採用しています。
Franklin Robotics社のTertillは家庭菜園のような狭い畑で使うロボット除草機です。まさに「お掃除ロボット」のように畑の中を走り周りながら、一定の高さに満たない雑草を回転するナイロンコードで細かく刻んでいきます。
畑の境界はフェンスのようなものにぶつかることで認識し、背の低い作物など除草してはいけないエリアについても、その周りに針金で張りめぐらすことで、ロボットに認識させることができます。
トラクタ作業機タイプ
ロボット除草機は、トラクタに装着して利用するタイプもあります(厳密に言うとロポットではないのではという指摘もありますが・・・)。
トラクタに装着するタイプの特長は、カメラからの画像データによって作物の位置を正しく認識することで、作物近くの雑草をきわどく「攻める」ことができることです。このため、トラクターのオペレータがあまり慣れていない場合でも、走行経路の誤差が一定範囲内であれば、その誤差の影響を受けずに作物を傷めないで除草作業を行うことができます。
このトラクタに装着されたロボット除草機はGarford社のRobocrop(たしか似たような名前の映画があったような・・・)で、カメラの画像を用いて作物の位置を認識し、回転する除草刃で雑草を削り取ります。除草刃は雑草がない部分では回転しませんが、作物を認識すると刃が回転して作物との接触を回避します。
Steketee社のIC-Weederは、除草刃が作物の両側に配置されていて、Robocropと同様にカメラからの画像で作物の位置を認識しています。
IC-Weederの場合は、除草刃は雑草がない部分では閉じて雑草を削り取りますが、作物を認識すると除草刃が開いて作物との接触を回避します。
現在ではRTKを利用した自動操舵システムで誤差2~3cmの範囲で畑を走行することが可能です。
さらに、この自動操舵システムにカメラを利用して除草刃の精密な位置制御ができるロボット除草機を組み合わせると、その除草効果は絶大だと思います。
この組み合わせシステムを活用すると、畑を歩き回りながら手で除草をしている女性農業者の方が不測の事態に対応するトラクタのオペレータに転身することが可能で、労働負担の軽減につながります。
今後、弊社の自動操舵システムとセンシング技術を活用した高精度な作業機との連携は実現するのでしょうか?ご期待いただければと思います。