ISOBUS規格を深掘りする(第1回)ISOBUS規格で何がしたいのか?

ISOBUS

馬鈴しょの収穫が本格的となり、季節の変わり目を実感しているAID研究センター所長てす。

タイトルに掲げたISOBUS規格はシステムを「作る」人の視点で書かれており、システムを「使う」側の人にとっては難解な部分が多く、異次元の話となりがちです。

そこで今回から数回にわたり、システムを「使う」という視点からISOBUS規格を深掘りしてみたいと思います。

ISOBUSの規格とは・・・

ISOBUS規格は正式には「ISO 11783, Tractors and machinery for agriculture and forestry - Serial control and communications data network」と呼ばれ、項目別にpart1からpart14の規格に分かれています。

そこで第1回として、これらの規格の中で「ISOBUS規格で何がしたいか?」が端的に示された「ISO 11783 part10: Task controller and management information system data interchange」について深掘りしてみたいと思います。


ISO 11783 part10 で書かれていること

ISO 11783 part10「 Task controller and management information system data interchange(タスクコントローラと管理情報システムのデータ交換)」というタイトルです。

タスクコントローラはトラクタや作業機の制御を行う「司令塔」の役割を果たす最も重要なアイテムで、ISOBUSを利用する技術のキーアイテムとなります。

では「管理情報システム」とは何でしょうか?

管理情報システムはISO 11783 part10の中では「Farm Management Information System(FMIS)」と定義され、和訳すると「農業経営情報システム」となります。

「農業経営情報システム」では、例えば機械作業計画・機械の利用時間・肥料などの資材管理・圃場ごとの収量など、農業者の意思決定支援に活用できるデータの他、近年注目されている「可変技術」などの「精密農業」を行うための作業管理のデータも扱うようになっています。

これらの情報についてはオフィスなどにあるファイルサーバーによって管理され、XMLというファイル形式に変換されて、トラクタや作業機の制御用の情報として活用されるようになっています。

これらのことを踏まえ、ISO 11783 part10ではトラクタ・作業機・タスクコントローラ・ファイルサーバーのデータ通信のルールが定められています

 ISOBUS規格ではトラクタや作業機の自動制御が注目されがちですが、農業経営の面も考慮されており、「機械を上手に使う」ための規格であると考えられます。

AgriBus-Webについて

農業情報設計社では「AgriBus-NAVI」と連動したシステム「AgriBus-Web」を運用しています。「AgriBus-Web」では走行軌跡や作業時間などの作業データの他、圃場の有効積算温度や土壌水分など作業計画などに活用できるデータも扱っています。

「AgriBus-Web」が実現したいことは、まさにISO 11783 part10の中で示されている「農業経営情報システム(FMIS)」そのものです。

まだシステムとしては開発途上ですが、今後農業者の方の意思決定支援に役立てるシステムとして改良を進めていきたいと考えています。

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