農業情報設計社ではAgriBus-G2から車速連動機能やセクションコントロール機能が搭載された作業機に車速や位置の情報を送るためのNMEA出力ケーブルの販売を開始しました。
今回は車速情報と作業機の関係やNMEA出力ケーブルの接続方法などについて説明したいと思います。
NMEA出力とは
まずNMEA出力について説明したいと思います。NMEAは米国海洋電子機器工業会(NMEA)が制定した規格で、GPS受信機からの経緯度情報などをテキスト形式で出力する場合の書式などについて規定しています。
図の例では$GPGGAの中の「 3348.65406,N」は緯度で北緯 (N)、33 度48.65406 分を示し、同じく「 11819.22616,W」は経度で西経(W)、118度19.22616分であることを示しています。
また$GPVTGの中で「0.619,K」となっている部分が速度情報となっており、速度が 0.619km/hであることを示しています。
車速連動機能とは
車速は作業機の作業精度に大きく影響します。そこでまず車速の影響について肥料散布を行うブロードキャスタを例にして説明したいと思います。
図の例では散布幅16mのブロードキャスタが毎秒160gの肥料をタンクから排出しながら作業速度2m/sで進んでいます。この時毎秒32㎡(16m✕2m/s)の作業面積に対し、160g/sの割合で肥料を散布していることから面積当たりの散布量は5g/㎡(160g/s÷32㎡/s)で、10aに換算すると5kg/10aになります。
しかし例えば傾斜地で作業速度が1m/sに低下した場合には、作業面積が16㎡/sに減少する一方で、肥料の排出量は160g/sのままなので面積当たりの散布量は10kg/10aとなり、「過剰散布」となってしまいます。
この時車速が1m/sまで低下したことを感知して、肥料の排出量を80g/sに調整すれば面積当たり散布量は5kg/10aとなり、「過剰散布」を避けることができます。
このように車速に応じて資材の散布量などを調整できる機能を「車速連動機能」と呼び、この機能が搭載されている作業機では散布量を適正化することで、資材費の節減効果が期待できます。
セクションコントロールとは
セクションコントロールは、資材を散布しない部分がある時に自動的にバルブの電磁弁のON・OFFなどをコントロールして、その形に合わせて資材を散布できる機能のことで、変形した畑でメリットが大きいとされています。
詳しくは
コラム「世界の農機から」第3話 ~セクションコントロールを使ってみたら~
をご覧ください。
NMEA出力ケーブルの接続方法
今回販売するAgriBus-G2用NMEA出力ケーブルはAgriBus-G2に接続する3ピンコネクタと作業機側のケーブルに接続するD-Sub9ピン(オス)から構成されています。なおケーブル長は2mとなっています。
AgriBus-G2との接続はAgriBus-G2のマルチコネクタから出ている3ピンコネクタに出力ケーブルの3ピンコネクタを接続してください。
D-Sub9ピン(オス)のコネクタは作業機側で用意されている接続ケーブルと接続してください。
D-Sub9ピン(オス)のピン配置ですが、2番ピンがRXD(受信)、3番ピンが: TXD(送信)となっています。機種によってピン配置が異なる場合には変換コネクタなどを用いて変換を行ってください。
なお現在のメッセージレートは5Hzまでですが、今後10Hzまでアップデートする予定となっています。
購入方法について
AgriBus-G2用のNMEA出力ケーブルの購入を希望される方は当社のオンラインショップよりお求めください。価格は税込みで11,000円となっております。