ISOBUS規格を深掘りする(第3回)ISOBUS規格でトラクタと作業機はどのようなデータをやり取りしているのか?

ISOBUS

AID研究センター所長てす。

今回はISOBUS規格でトラクタと作業機は「どのようなデータをやり取りしているか」をテーマにして深掘りしてみたいと思います。

取り上げるISOBUS規格は、「ISO 11783 part7: Implement messages application layer(作業機メッセージのアプリケーション層)」「ISO 11783 part8: Power train messages(動力部メッセージ)」です。

ISO 11783 part7 について

「ISO 11783 part7:Implement messages application layer(作業機メッセージのアプリケーション層)」は作業速度・PTO軸回転数・ヒッチの高さなどのトラクタの機能をコントロールするメッセージデータの定義について記載されています。この規格によって作業機側に配置されたセンサーのデータなどからそれぞれの設定値が最適化され、作業精度の向上が期待できます。

これらのメッセージデータのやり取りははParameter Group Number(PGN;パラメータグループ番号)と呼ばれる数値を用いて行われます。

PGNを用いる方法は「農業機械とCAN通信」の回で紹介した米国自動車技術者協会(SAE)が定める規格「SAE J1939」に準拠した方法で、これによって「ISO11783」「SAE  J1939」との整合性が図られています。

 トラクタにおけるPGNでは油圧バルブ・PTO軸などトラクタの基本的性能に関わる項目がコントロールできるようになっています。なお補助油圧バルブは最大16個までコントロールできますが、プログラム管理の都合で0番から15番という変則的な番号の付け方となっています。

それぞれのPGNを親とすると、親子関係でさらに細かな設定項目が連動しており、これらの設定項目はSuspect Parameter Number (SPN)という番号を用いてデータのやり取りを行っています。具体例として「PGN65093 リアヒッチの状況」という親項目には「SPN1873 リアヒッチの位置」など6項目の子項目となるSPNが連動しています。

これらのPGNSPNの具体的なデータはドイツ機械工業連盟(VDMA)のサイトにあるisobus-netから入手することができます。

ISO 11783 part8 について

「ISO 11783 part8: Power train messages(動力部メッセージ)」はトラクタのディーゼルエンジンにおけるメッセージデータの定義について記載されています。

ディーゼルエンジンは農業機械以外でもに建設機械やトラックなどでも用いられており、この規格では前述した「SAE  J1939」で定義されたディーゼルエンジンに対するPGNやSPNに準拠するよう定められています。

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