コラム「世界の農機から」第6話 〜加工用トマトハーベスタ〜

Column

12月となり、あっという間に日暮れとなってしまう時期となりました。近頃コンビニでポテトチップスの新商品のチェックに忙しいAID研究センター所長です。

今回は、意外と知られていない加工用トマトハーベスタのことをご紹介したいと思います。

加工用トマトは、トマトジュースやケチャップの原料となるトマトで、スーパーに置いてある青果用トマトとは異なる品種となっており、実が硬くて潰れにくいなど、機械収穫に適した特性を持っています。

一方、加工用トマトハーベスタは、1942年にアメリカのカリフォルニア大学で最初の機械が開発されて以来、改良が進んで現在に至っています。 

例えば上の写真は、Guaresi社の Super G 120-40という機種ですが、油圧式の無段変速機構や色彩選別による選別システムなどを搭載しています。

(GUARESI社 G 89/93 MS 32″)

動画はGUARESI社のG 89/93 MS 32″という加工用トマトハーベスタです。

加工用トマトハーベスタでは大量のトマトの果実を短時間で収穫できるように、いろいろな工夫がされています。

(#TeamTomatoJos )

まずトマトの果実を茎から外す工程ですが、加工用トマトは動画のように、熟してから振動を与えると茎から実が外れる特性を持っています。

この特性を利用して、加工用トマトハーベスタでは「Shaker」という振動する機構が用いてトマトの果実を収穫しています。


(GUARESI社 Happy Tomato)

次に熟した果実だけを集める工程が必要です。

動画はGUARESI社のHappy Tomatoという色彩選別機です。

加工用トマトの果実の選別では、色の違いを見分ける色彩選別機が用いられています。

色彩選別では、製品となる熟した赤い色のトマトは残し、製品以外の未熟な青いトマトや茶色の土の塊などは、「キッカー(Kicker)」と呼ばれる除去装置で蹴り飛ばすしくみとなっています。

(実は日本では色彩選別の技術は進んでいますが、こういうキッカーのようなメカニックな部分のノウハウが蓄積されていないため、ハーベスタの開発が遅れています)

トマトソースやケチャップなどの原料となる加工用トマトですが、海外ではこのような専用のハーベスタを使って収穫されています。

食品メーカーからは、原料確保のために北海道でも加工用トマトの栽培面積を増やしてほしいという要望があがっていますが、やはり収穫作業がネックとなっています。

栽培面積を増やすために、こういう加工用トマトハーベスタの導入が進むのかどうか、今後の展開が気になるところです。

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